一、9月議会の主な内容(中村県議の代表質問、人事案件、条例、意見書など)
9月定例県議会は9月18日に開会し、22日間の日程で、10月9日に閉会しました。先の6月議会で今年度予算が成立したことを受け、本9月議会は特別会計(伊良原ダム開発事業)補正予算案の提案1件、条例(中小企業振興条例、個人情報保護条例の一部改正等)7件、契約3件、経費負担6件、人事(副知事の選任、教育委員会委員の任命)2件、その他1件の合計20件の議案の提案がありました。
代表質問は、2ヶ月前から会派の政策審議会で9回の審議を経て、9月29日に中村誠治議員(久留米市選挙区)が行いました。
今回の質問に向け、会派は7月27日から8月1日まで、インドネシアの首都ジャカルタを訪問し、インドネシアやタイなどアセアン10カ国が、本年末、経済統合を果たしアセアン経済共同体が誕生することから、アセアン本部やJETRO(日本貿易振興機構)、安川電機ロボットセンター等を視察・見聞しました。
また、9月2日から4日の間、秋田県を視察し、県立大学として全国から学生、海外から留学生を積極的に受け入れ、原則授業は英語で行う国際教養大学と、全国学力テストで常に上位の秋田市教育委員会、さらに文部科学省からスパー専門高校の指定を受け将来のスペシャリストを育成している秋田県立男鹿海海洋高校などを視察し、意見交換を行いました。
これらを受け9月29日の代表質問では、冒頭、先の9月の北関東・東北を襲った豪雨災害に心からのお見舞いを述べ、復興支援に取り組むことを表明し質問に入りました。
質問は、県政推進の基本姿勢として、視察をもとに本県のアセアン対策、マイナンバー制度への対応について、ほか中小企業の支援及び商店街の活性化、本県の公共工事の入札制度と公契約条例の制定を、教育問題では学力向上対策を質しました。
意見書では、民主党・県政クラブから「教育現場の実態に即した教職員配置の充実を求める意見書」を提出し、採択することができました。
これらの経緯を踏まえ、議会最終日に合計20件の議案が可決され、議会は閉会しました。
民主党・県政クラブの代表質問の項目と主な内容、並びに一般質問、そして知事並びに教育長、警察本部長の答弁の概要は、以下の通りです。
◎県政推進の基本姿勢について
1.本県のASEAN対策 (知事へ質問)
ASEAN経済共同体の創設に対する基本認識について
ASEAN経済共同体は、10カ国で創設合意。ASEAN地域へ進出の県内企業は、2014年に124社、この10年間で2倍以上に増加。今後も、
①福岡ABCによる県内中小企業の海外事業展開支援
②アジア中小企業経営者交流プログラム
③バンコク事務所による現地情報の収集、県内中小企業の現地ビジネス展開支援
等を積極的に実施、ASEAN地域との経済交流を一層促進。
バンコク事務所と福岡ABCの機能強化について
福岡ABCへの海外展開相談は、ASEAN地域が299件、全相談件数718件のうち最多。今年度、フィリピン担当アドバイザーを新登録、シンガポール担当アドバイザーを増員、ASEAN地域の相談体制の充実を図った。
中小企業インドネシア自動車ビジネスミッションについて
インドネシアは、近年、自動車生産が大きく伸び、昨年は130万台、タイに次ぐASEAN第2位の生産拠点。生産台数に占める日系メーカーの割合は約98%、最大は北部九州が拠点のダイハツグループ。
昨年度から県内自動車関連企業が団員のミッションを派遣、商談会や工場視察等を実施。今後、インドネシアの自動車関連企業のミッション受け入れ、中小企業同士のビジネスマッチングを行い、本県企業のインドネシアへのビジネス展開を支援。
インドネシア直行便就航への働きかけについて
昨年公表の「福岡県の空港の将来構想」で、福岡空港への誘致路線とした。北九州空港は、24時間運用可能空港の強みで早朝・深夜便やLCCの誘致を進める。
2.マイナンバー制度への対応(知事へ質問)
マイナンバー制度に対する認識について
住民票、課税証明書等の添付が不要、来年1月から交付開始のマイナンバーカードで行政手続のオンライン申請、コンビニでの証明書の取得等が可能。
県行政事務も、文書の照会事務がオンラインで可能、事務処理の効率化の見込み。
マイナンバー制度における情報漏えい対策について
国・県・市町村等の行政機関が、所管の行政事務毎に有する個人情報は、これまで同様、システム上、別々に管理。国構築の情報提供ネットワークシステムは、
① インターネットとは遮断、
② 情報のやりとりは、マイナンバーとは別の符号が割振られ、マイナンバー自体はやり取りされない、
③ 流れる情報は全て暗号化、
等の情報漏えい対策。
今後、管理する個人情報の暗号化、関係部局の情報セキュリティ監査の実施、サイバー攻撃模擬訓練の実施等、きめ細かな対策を講じる。
マイナンバー制度の運用開始に対する本県の準備状況について
特定個人情報の利用、提供及び開示に関する所要の規定整備のため、福岡県個人情報保護条例の一部改正を、今議会に提案。
実際にマイナンバーを利用し、個人情報のやり取り開始の平成29年7月までに、関連する13の既存業務システムの改修や運用テストが必要。このうち、税務、生活保護など12のシステムは、年内に整備完了、テスト開始、残り1システムも平成28年度中に必要なシステム改修。
マイナンバー制度の導入に乗じた詐欺行為対策について
行政機関の職員を名乗る女性が訪問し、資産や保険の契約状況等の情報を聞き出そうとした例が発生。今後、番号の通知や運用の開始時期が近づくにつれ、不審電話等の増加も懸念。今後も、詐欺被害の防止のための注意喚起をしっかり行う。
◎中小企業の支援及び商店街の活性化(知事へ質問)
県内中小企業の課題について
条例案の策定のため、県内中小企業1,238社にアンケート調査、県内中小企業241社の経営者ヒアリング調査を実施。
その結果、事業環境の変化を見据えた事業計画策定の必要性、必要な人材確保・育成、資金確保等の共通課題や、創業段階は経営ノウハウ習得や販売先の確保、経営基盤の強化は商談会での販路拡大や円滑な事業承継等の課題が明らかになった。
小規模企業の振興策について
中小企業振興条例案は、企業の創業段階から 経営基盤の強化、新事業展開といった、中小企業の成長段階に応じ施策を効果的に講ずる。
小規模企業は、提供商品やサービスが地域の消費に依存、事業の持続的発展を図るため、域外への販路拡大等、事業計画の策定、生産性の向上に支援施策を講ずる。
商店街の新たな活性化の政策展開について
地域の人口減少や大型商業施設の進出、インターネット販売の拡大等、県内商店街を取り巻く環境はますます厳しい。
県は、平成21年度から地域商品券の発行を積極的支援。平成23年度から、出張商店街や商店街への送迎用バスの運行支援、10商店街が現在も取組み継続。平成25年度から、まちづくりによる新たな交流人口・居住人口を商店街に呼び込むため、中心市街地活性化基本計画に基づき、地域のまちづくり会社や市町村と連携し、商店街に魅力ある店舗誘致・集積させ集客力の向上の取組みを重点的に支援。
プレミアム付き地域商品券の経済効果の検証について
地域商品券は地域の消費を喚起、地域経済に直接の効果をもたらす。
今年度、購入者に対し地域商品券の使用目的や購入商品・サービスの金額を記入する調査を実施。商品券の発行が新たに誘発した消費額やその経済波及効果を試算し、地域商品券の消費喚起効果を数値で検証。
中小企業制度融資における預託方式の運用状況について
預託方式は、金融機関が中小企業への低利融資に必要な原資の一部を、年度当初に県が金融機関に預託、金融機関の融資に必要な資金の調達コストを引き下げる。
利子補給方式は、金融機関が中小企業に低利融資の後、本来の金利との差額を県が金融機関に補填。低利融資に必要な資金は、当金融機関が全額、自ら調達。
本県は他の37都道府県同様、預託方式を採用。金融機関から預託金の償還を受ける際の利子額は、平成25年度、26年度いずれも6千万円余。
◎本県の公共工事の入札制度と公契約条例の制定(知事へ質問)
本県の公共工事の入札制度の一般競争入札拡大について
段階的に一般競争入札を拡大、平成19年4月から5千万円以上の建設工事で、総合評価方式による一般競争入札を実施。
一般競争入札は、競争性が高まるメリットがある一方、公告から入札までの期間が総合評価方式で約60日、通常型一般競争入札でも約50日かかり、指名競争入札の約10日と比べ、発注までに手間と時間を要するデメリットがある。
一般競争入札の拡大は、メリット、デメリット、業界の意見も踏まえ、慎重判断。
公共工事設計労務単価の改定を踏まえた適切な賃金水準確保について
建設工事の担い手の技能労働者を確保・育成は、適切な水準の賃金支払いが重要。
受注業者に対し、下請契約の際、適正価格での契約締結と、設計労務単価の引き上げを踏まえ、下請業者の適切な水準の賃金の支払いを要請。
公共工事設計労務単価の改定に伴う特例措置について
請負業者に周知を図り、請負業者からの請求により、契約変更。本県の設計労務単価は、平成25年度からの3年間で、28.3%上昇。
県発注工事現場に、適切な賃金水準確保のポスターの掲示を要請、周知を図る。
公契約条例について(会派でたびたび質問)
県発注の公共工事に携わる労働者の適正な労働条件の確保は、重要。
本来、賃金などの労働条件は労使間で自主決定されるもの。引き続き、他の自治体の取組みについて情報を収集し研究を進める。
◎教育問題について
1.学力向上対策
全国学力テストの目標の実効性ある計画について(教育長へ質問)
県民の信頼に応え得る学校教育の水準として、全国平均という基準は分かりやすい。これを上回るという目標に向かい鋭意努力する。
来年度の調査に向け、市町村教育委員会を通して各学校に、その実態に応じた実現可能な目標値を設定、学力向上の取組みを着実に推進するよう依頼。
今回のテスト結果の到達度について(教育長へ質問)
学力調査は教育に対する県民の信頼を確保し、福岡らしい教育を展開する上での土台、本県の現状は未だその土台を築くに至っていない。
学力向上推進強化市町村の学校における成績などの変化について(教育長へ質問)
学力調査の強化市町村の平均正答率は、昨年度比、小学校は国語Aで1.3ポイント、国語Bで0.8ポイント、算数Bで1.3ポイント、中学校は国語Bで1.2ポイント、数学Aで0.7ポイント、数学Bで1.4ポイントそれぞれ全国との差を縮め、小・中学校とも4教科区分のうち3教科区分で、学力が向上。
強化市町村は、昨年度と比べ国語の勉強が好き、家での復習と回答した児童生徒や、授業中の私語がなく落ち着いていると回答した学校が増えた。
少人数学級への取組みの違いと学力の違いについて(教育長へ質問)
本県と秋田県の学力の違いは、少人数学級の取組み以外に、各学校の組織的取組みや家庭の学習習慣の違い等、様々な要因に着目する必要がある。
少人数学級の取組みの県独自の拡大について(知事へ質問)
子どもの学習・生活両面で、よりきめ細かな指導を行うため少人数学級の推進は重要。全国知事会は、引き続き国に定数改善を強く要望。
少人数学級の取組みの県独自の拡大について(教育長へ質問)
小学校1・2年生、全学校で少人数学級を実施。他の学年、中学校も、加配定数等を活用し少人数学級が実施できるよう制度を弾力的に運用。
今後も市町村の判断により、学校・地域の実情に応じ柔軟な学級編制に取り組み、中長期的な観点に立ち、定数改善を進める必要から国に要望。
放課後児童クラブと「学び道場」について(知事へ質問)
放課後児童クラブは、保護者が昼間家庭にいない小学生対象。放課後、遊びと生活の場を与え、基本的な生活習慣の習得や、宿題、自習等の自主的学習活動を援助。
「学び道場」は、全小中学生対象。週2回程度、学習指導を行い学力向上が目的。
放課後児童クラブの子どもたちが、「学び道場」に参加しやすい環境整備を、教育委員会と連携して市町村に働きかける。
放課後児童クラブに放課後学習・家庭学習の機能の付与について(教育長へ質問)
今年度から放課後学習活動支援事業は、放課後等に学習活動を行う「学び道場」を10市町で実施。今後、「学び道場」の開設方法を工夫し、放課後児童クラブとの連携強化、放課後の学習活動を支援。
学力テストを学習指導に活用することについて(教育長へ質問)
学力調査と診断テストの結果から「授業改善のStrategy」、「学力アップ通信」等、指導改善の各種資料を独自作成、配布、校内研修会等での活用を支援。
学力向上担当教員の実践交流会の実施、課題の学校へフォローアップの支援強化。
教員定数に占める正規教員の計画的増員について(教育長へ質問)
教員採用は、定数の増減や退職者数、年齢構成のバランス等を勘案、採用者の質の確保も考慮し毎年度計画を策定、2015年度は2011年度に比べ、採用数を約300人増加。今後、段階的に採用数の増加を図り、正規教員の確保・配置に努める。
二、一般質問(質問者と項目・登壇順)
①原中 議員
- セクストーション(性的脅迫)対策並びに本県の消費生活相談行政の強化
②渡辺 議員
- 18歳選挙権と主権者教育
③今井 議員
- 県債残高
- 若年者の離職
④田辺 議員
- 子どもの貧困対策の具体的な推進
- 障がいのある子どもの教育機会の保障
⑤大田 議員
- 生活困窮者自立支援法の実効性の確保
⑥大橋 議員
- 防災、減災意識の啓発(避難勧告、避難指示、防災運動会)
⑦佐々木允 議員
- 福岡県史の発行
- 労働政策に関する本県と国との一体的実施及びハローワーク特区
⑧仁戸田 議員
- 本県の学力向上に向けた取り組み
- 国定公園の整備
三、採択された意見書・決議
- 高等学校における日本史必修化を求める意見書
- 教育現場の実態に即した教職員配置の充実を求める意見書(民主党県政クラブ提案)
- 難病対策の充実に関する意見書
- 外国人観光客のさらなる受入環境の整備を求める意見書
- 公共事業予算の確保と補正予算の編成を求める意見書
四、議員条例
観光振興条例(仮称)の議員提案による制定に向け、各会派代表による調整会議を立ち上げ、2月議会(予定)で提案することになりました。
五、知事の陳謝と議会の休会
県職員等が業務中に起こした交通事故の内容と損害賠償額を記した専決処分の報告書が、今年度のデーターを載せるべきところを、昨年度のデーターが記載されていたため、知事が陳謝し、データーが訂正、再提出されました。
国の緊急雇用創出事業を活用した、本県の民間委託事業で、民間企業に採用された従業員に対し、農林水産部が本庁で事務をさせていた問題で、議会答弁が不充分、答弁もれのため、議会が休会し、翌日(10月6日)に再開、再答弁となりました。県は、この問題で農林水産部長ら7人を処分しました。







