2013年2月議会・代表質問(3月5日)_1

県政推進の基本姿勢について

1)北九州市制50周年

岩元一儀 議員

本年2月10日に、北九州市は市制50周年を迎えました。昭和38年2月、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の5市による対等合併は、当時、「広域多核都市」の建設と呼ばれる世界でも例のない試みとなり、合併の翌年には、国連が調査団を派遣するほどの画期的な出来事となりました。

4大工業地帯の一つとして発展してきた北九州市は当時、深刻な公害問題を抱えていましたが、これを市民、企業、行政が一体となって克服しました。そして、重工業を中心に発展してきた北九州市は、現在、これまで培ってきた「モノづくり」の経験や技術をいかし、産業の高度化や都市基盤整備、環境対策といった、様々な取り組みの結果、半導体やロボット、自動車、環境、情報などの新しい産業が根付いています。

そして、この大きな節目を市民全体で祝うとともに、未来につながる契機とするため、「市制50周年記念事業基本構想」を踏まえ、4つのテーマに沿って、228の記念事業が1年間展開されます。具体的には「北九州フィルムフェスタ」、「全国高等学校総合体育大会」などの事業であり、来年2月には、フィナーレとして「北九州マラソン」が開かれます。こうした事業の成功を心から願いたいと思います。そこで。

1点目に、北九州市の一連の記念事業に対しては、県としても協力していくべきだと考えますが、このことにつて知事の考えをお聞きします。

2点目に、本県と北九州市との連携は、「グリーンアジア国際戦略総合特区」の推進などで、これまで以上に強化していく必要があると考えますが、知事は北九州市との連携について、どのように考えているのかお聞きします。

2)地域主権改革の推進

今年は、1993年に衆参両院で「地方分権の推進を求める決議」が、両院ともに全会一致で採択されてから、20年の節目の年にあたります。

国会決議を受けた後、2000年には「地方分権一括法」が施行され、小泉内閣時代の「三位一体改革」を経て、2009年の政権交代後は「国と地方の協議の場」の法制化や、「義務付け・枠付け」の見直しも着手されるなど、自治体の自由度を高める改革は、一定の前進を遂げてきました。しかし、国税と地方税の配分の見直しや、国の出先機関の改革など、残された課題も多くあります。こうした中で、新政権となってからは、「一括交付金」廃止の問題や、出先機関改革を白紙に戻すかのような発言を総務大臣が行うなど、改革の後退が懸念される状況も生まれています。そこで。

1点目に、知事が、この20年の改革の歩みを、どのように評価しているのかお聞きします。

2点目に総選挙を経て、「道州制」の議論が活発化する兆しを見せています。新政権は分権改革の方向として、都道府県を再編・統合し、全国に10程度の「道」・「州」を設ける「道州制」を掲げ、次期通常国会にも、基本法案提出を予定していると聞いています。これまでの20年間の分権改革の方向は、住民に身近な市町村に税源と権限を移譲し、住民に身近な市町村が住民サービスのあり方を自己決定する。それに基づき、「市町村から都道府県、さらに国へ」という、補完型の国と地方との関係を築くことを目的に改革が進められてきました。こうした分権改革が実現した後の、次の段階として「道州制」を展望することは、当然のことだと言えます。本県においても、分権改革の方向は、「地方への大胆な権限移譲、義務付け・枠付けの見直しなどによる自治立法権、自治行政権の拡大や、地方財政基盤の強化を通じた自治財政権の確立を図っていく必要がある」と、総合計画の中に明記されています。また、こうしたことを踏まえ、知事は先の12月県議会で、「道州制は、地方分権を進めた先にある国の姿というふうに認識している」と、発言されています。そこで知事は、これまでの20年間の分権改革の方向性と、新政権が掲げる「道州制」の方向性を、どのように考えているのかお聞きします。また、この新政権の掲げる「道州制」については、「国と地方の協議の場」などで、果敢に論争を挑んでいくことが必要だと考えますが、このことに対する知事の考えをお聞きします。

3点目に、報道によると、第2次安倍内閣は「一括交付金」を廃止し、中央省庁が細かく使途を決める「ひも付き補助金」を復活させる方針を固めたと聞いています。「一括交付金」は、中央省庁から補助金の一定額を提出させ、これを一本化し、元の補助金に関連した事業なら、自治体が自由に使えるようにした制度で、2011年度に都道府県を対象に5120億円で新設され、2012年度からは6754億円に増額し、政令指定都市にも拡大され、次の段階として、市町村に拡大する流れができていました。この制度は、地域の実情に応じた行政サービスの提供を確立するため、継続されるべきものであり、それをわずか2年で白紙に戻すことは、これまでの改革の流れに逆行するものだと考えます。そこで知事は、「一括交付金」について、どのように評価し、「一括交付金」を廃止し、「ひも付き補助金」を復活させる方針に対して、どのような見解を持っているのかお聞きします。

4点目に、「国の出先機関を都道府県の広域連合に移管する特例法案」は、閣議決定されたものの、国会に提出されないままになっています。自民党は、先の総選挙の政権公約で「国の出先機関の特定広域連合への移管には、断固反対」すると明言し、政権復帰後は、法案の国会提出を見送る姿勢を見せています。本県では、九州知事会で、国の出先機関の受け皿として、九州広域行政機構の設立をめざすことが合意されて以降、九州広域行政機構の設立をめざす取り組みを進めてきました。また、県議会としても、こうした知事会の取り組みを側面から支援する意味で、「九州の自立を考える会」を設立し、活動を続けてきました。国の出先機関の地方移管は、2007年に当時の安倍政権のもとで設置された「地方分権改革推進委員会」で、検討が始められたものであり、政権に復帰するなり、これまでの議論を白紙に戻すようなことが、あってはならないと思いますが、このままでは、国の出先機関の改革は、立ち消えになることが強く懸念されます。そこで本県では、国の出先機関の改革を進めるため、九州広域行政機構の設立をめざす取り組みを進めており、この方針を変えるべきではないと考えますが、このことについて、知事がどのように考えているのか、また今後、国の出先機関の改革をどのように進めていくべきと、考えているのかお聞きします。

5点目に、2013年度政府予算案では、地方公務員の給与削減を前提として、地方交付税が前年度比3900億円削減されました。そもそも地方公務員の給与は、公平・中立な知見を踏まえつつ、議会や住民の意思に基づき、自治体が自主的に決定するものであり、国が国家公務員の給与減額措置に準じて、地方公務員の給与の削減を求めるとともに、それを反映して地方交付税を削減したことは、地方自治の根幹にかかわる問題だと受け止めています。ましてや、その政策目的を達成するための手段として、地方交付税を用いることは、地方交付税が地方の固有財源という、性格を否定するものだと考えます。国の地財計画では地方交付税総額が、3921億円削減されており、本県への影響額は、知事が「議案説明」の中で明らかにしたとおり、193億円となっています。そこで第1に、この問題で知事は、今年1月の記者会見の席上、「国が国家公務員の給与カットをやってこなかった13年間、地方は独自で国を上回る人件費の抑制をやってきた。」と発言されるとともに、「国は、これまでの地方の取り組みを評価していない。」と、国の対応への不満を述べています。そこで、本県では1999年から2012年までの14年間にわたり、総人件費の削減に取り組んできましたが、この取り組みの概要と、それにより、どれくらいの財政効果をあげることができたのかお聞きします。第2に、今回の地方交付税の削減をめぐっては、自治体の自主性を侵す政府の姿勢に強い憤りを感じますが、知事は今回の地方交付税の削減にいついて、どのように考えているのか、所見をお聞きします。

3)経済対策

次に、経済対策についてお尋ねします。
今年1月、政府から総額13.1兆円に達する今年度の補正予算案が発表されました。13.1兆円の内訳は、基礎年金の国庫負担分を除いた景気対策分が10.2兆円で、この内、半分の5兆円を公共事業が占めています。さらに1月末には、政府の新年度予算案が公表されました。この予算案は、先の補正予算と合わせ、「15ヶ月予算」と位置づけられ、歳出総額は大規模な公共事業を盛り込むなど、過去最大規模となっており、何よりも補正予算と合わせると、施設費を含む公共事業費の総額が10兆円を超え、突出していることが、特徴となっています。公共事業重視の新年度予算は、短期的に景気を押し上げる効果はあると思いますが、甘い税収見通しを前提にしている上、借金体質は依然として続き、財政再建という点では、今後に不安を残す内容となっています。こうした政府の経済対策は、安倍政権が「3本の矢」として掲げる「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間の投資を引き出す成長戦略」の三つの基本方針に沿って策定されたと聞きます。株式市場や為替市場は、今後の金融政策と財政出動によるデフレ脱却への期待感から株価上昇、「円安」の反応を見せ、また安倍政権も「今は期待に働きかける政策が重要だ」としています。今後は、こうした政策を実体経済の回復に結び付けていくことが、最も重要だと考えます。そこで、知事にお尋ねします。

1点目に、デフレ脱却に向けた金融政策の効果については、評価が分かれているのに対し、「デフレ脱却を確実に行なうには、賃金が持続的に上昇する状況を作り出す必要がある」ということについては、異論は少ないと聞きます。これは、仮にインフレ率が上昇しても、賃金が上がらなければ、家計の実質所得は減少することになり、需要の低迷によるデフレが続くことになるからです。その意味で、安倍政権の経済政策の成否を決める最終的な要素は、賃金が持続的に上昇する状況を作り出せるかどうかにあると考えます。現在、「春闘」の期間中にあたりますが、「賃上げによるデフレ脱却」を訴える労働側に対し、経済団体側は、賃上げに慎重姿勢を崩しておらず、賃上げが進むかどうかは微妙な情勢にあり、このことから政府は、経済界に「賃上げ圧力」を強めていると報道されています。わが国の賃金は、10年以上にわたり下落傾向を続けています。この間には、輸出産業を中心に、企業が最高益を記録した2002年から2008年にかけての景気拡大期もありましたが、この期間中も賃金は上昇せず、デフレが続くことになりました。そこで、知事は「デフレ脱却のための賃上げ」の必要性について、どのような所見を持っているのかお聞きします。

2点目に、公共事業を中心とする財政出動は、ここ20年で100兆円にのぼり、1990年代から景気が落ち込むたびに、公共投資を積み増す経済対策が講じられてきましたが、その効果は短期間で消え、財政赤字だけが積み上がっていったという、経緯があります。そこで、知事が今回の政府の財政出動を財政規律の観点から、どのように評価しているのかお聞きします。

3点目に、政府の新年度予算案には、安全安心につながる公共事業なら自由に使える自治体向け交付金として、1兆円あまりを盛り込み、自治体が必要とする事業に使えるようにしていますが、今回の政府予算に対しては、景気回復の即効性に期待し、「優先順位よりも事業の量を確保するために、予算を膨らましている」との指摘があります。国の「機動的な財政出動」に対しては、自治体の側も機動的に対応しなければ、景気刺激効果は上がらないと思います。しかし、現実問題として、公共事業は、計画、調査、用地買収などの段階を経て、事業が開始されるものであり、このような大量で、しかも時間が限られている中で、事業が適切に執行できるのか、また現場職員が減少している中で、事業を執行できるのかといった課題があります。そこで、今議会に提案されている本県の予算では、2月補正と来年度当初予算を合わせた公共事業費が、今年度当初予算と比べ21.1%増の高い伸びを示していますが、この公共事業を執行していく上で、時間的課題や、職員体制について、知事がどのように認識しているのかお聞きします。

空港問題について

次に、福岡空港問題にいて、お尋ねします。
先月、国交省から空港利用状況に関する速報値が公表され、2012年の福岡空港の発着回数が約15万6千回に達したことが明らかにしました。この発着回数は、福岡空港の将来像を議論してきた中で、議論の前提として、繰り返し示されてきた「容量限界・14万5千回」を1万回以上、上回ります。発着回数の増加の原因としては、格安航空会社(LCC)の就航・増便や、航空会社がコスト面から、航空機を小型化して運行回数を増やす方針に転換したことなどが考えられています。福岡空港の過密化対策は、アジアの交流拠点をめざす本県にとって、急務の課題だと言えますが、巨額の投資をともなう事業となるだけに、県民の理解と協力を得るために、納得のいく公正なデータを示しながら、対策を進めることが重要だと考えます。そこで。

1点目に、容量限界について、これまで県は「容量限界を超えると、離着陸の遅れや、新規就航・増便の要望に応えられない」と説明してきました。しかし、福岡空港では現在、容量限界を1万回も超えた運用が行なわれており、これまでの説明や、「容量限界・14万5千回」という、数字そのものが破綻していると考えます。そこで、このことは、これまでの福岡空港過密化対策の議論の土台を崩しかねない問題だと思いますが、知事は「容量限界・14万5千回」という数字を現状で、どのように考えているのか、また、「容量限界・14万5千回」という数字は、一体どこからもってきた数字なのかお聞きします。その上で、福岡空港の容量限界は、最終的にどのようなものになるのかお聞きします。

3点目に、本県では、福岡空港過密化の当面の対策として、2020年の完成をめざし、誘導滑走路の複線化に着手しています。この対策は、発着回数を4千回増やす効果があるとされていますが、現状からすると、複線化が実現しても発着回数は、これまで容量限界とされてきた数値を超えることになります。そこで、完成までに10年程度かかると言われている滑走路増設までの当面の対策として、どのようなことを考えているのかお聞きします。

環境問題について

次に、環境問題について、二つの課題にわたり、お尋ねします。
一つ目の課題は、中国からの大気汚染の越境問題についてです。
中国の大気汚染が深刻化し、汚染物質が風で運ばれ、本県にも影響を及ぼしています。
わが会派は2007年に、中国からの大気汚染物質の移流が原因で、本県では10年ぶりとなる「光化学スモッグ注意報」が出されたことから、この問題をその年の9月議会の代表質問で取り上げ、県に中長期的な視点からの対策を求めました。しかしその後も、中国からの越境汚染は改善されず、2009年度からたびたび、光化学スモッグ注意報の発令が繰り返されています。

今、問題になっている汚染物質は、車や工場などからの排ガス・排煙が原因とされる、直径が千分の2・5ミリ以下の微小粒子物質「PM2・5」と呼ばれるもので、粒が小さいため呼吸器の奥まで入り込み、ぜんそくや気管支炎などの健康被害につながると言われています。このため、本県では先月から県内10ヶ所で観測を始め、ホームページ上で観測数値の結果を公表しています。そこで。

1点目に、「PM2・5」のわが国での環境基準は、1日平均1立方メートル当たり35マイクログラム以下となっていますが、この環境基準に照らし、「PM2・5」による本県での大気汚染が、これまでの観測を通じ、どのような現状にあるのか。また、多くの県民が「PM2・5」による健康への不安を感じていると思いますが、現状で県民の健康への影響をどのように考えているのかお聞きします。

2点目に、今後春から初夏にかけ、黄砂の飛来とともに、「PM2・5」などの大気汚染物質の飛来が、量、回数ともに増加することが考えられますが、気候変化に伴う汚染状況の推移を、どのように予測しているのか お聞きします。また先日、国から「PM2・5」に関する注意喚起のための暫定指針が示されました。そこで、本県においても、国の暫定指針に沿い、観測数値の公表に工夫を加えるべきだと考えますが、このことについて知事の考えをお聞きします。

3点目に、本県は「グリーンアジア国際戦略総合特区」の指定を受け、環境分野を中心とした産業のアジア展開をはかる施策を進めており、中国の深刻な大気汚染問題の解決に、かつて深刻な大気汚染を経験し、それを克服した経験とノウハウを持つ県内自治体とともに本県が、積極的に技術協力していくことは、大変重要なことだと考えます。そこで、このことについて、知事の考えをお聞きします。

二つ目の課題は、産廃行政の推進についてです。
先月25日、わが会派は飯塚市・内住地区にある最終処分場を視察するとともに、処分場周辺の住民の方々から、県に対する意見や要望を聴取してきました。県による、この処分場内のボーリング調査は、すでに終了し、覆土を終えた処分場内では、かつて放置されたままであった大量の産業廃棄物を、今では直接見ることはできません。しかし、処分場直下の民有地には、異臭が立ち込め、処分場からは泡立った水が、間断なく流出するという現状が見られ、周辺住民の方が、健康への不安を訴える事情が、よく理解できました。そこで。

1点目に、今年1月以降、現地では周辺モニタリング調査や、ボーリング調査が重ねて行なわれていますが、調査の進捗および調査結果がどのようになっているのか、知事にお聞きします。

2点目に、知事は現地の調査結果をもとに、「調査専門委員会」の審議を経て、年度内には、措置命令を出したいとの意向を明らかにしてきましたが、県として措置命令を発出する時期について、知事が現段階で、どのように考えているのかお聞きします。

3点目に、処分場直下の民有地の現状については、先ほど述べましたが、健康に対する周辺住民の不安をどのように受け止め、どのように対応するのか、知事の考えをお聞きします。

4点目に、本県の来年度予算案には、新規事業として、安定型最終処分場に対する定期的な掘削調査の実施、長期化している廃棄物事案の解消に向けた取り組みを実施するための予算が計上されています。これは、知事が「県民幸福度日本一」をめざし、産業廃棄物問題を住民の立場にたち、積極的な解決に乗り出す姿勢を示したものと、高く評価します。そこで第1に、県内で現在、稼動している安定型最終処分場のカ所数と、産廃問題が長期化している事案が、どれだけあるのかお聞きします。第2に、稼動中の安定型最終処分場を対象とした掘削調査は、来年度、何ヶ所を予定し、調査対象の処分場は、どのようなことを基準に、選ぶことにしているのかお聞きします。第3に、産廃問題が長期化している事案に対しては、どのような調査を年間何ヶ所予定しているのか、お聞きします。

アジア戦略について

次に、本県のアジア戦略についてお尋ねします。
近年、急速な経済発展を遂げているASEAN(東南アジア諸国連合)に世界が注目しています。生産拠点や巨大な消費市場として、「チャイナ・プラス・ワン」とも呼ばれ、私たちの会派もかねてより、本県経済発展の観点から強い関心を抱いてきました。特に、ミャンマーやカンボジアといった「後発国」における可能性の大きさについて、昨年来、代表質問で知事に指摘し、企業への現地情報の提供など支援体制の整備を求め、実現を図ってきたところです。

こうした問題意識と経緯を踏まえ、私たちは、残された後発国であるラオスに着眼しました。ASEAN唯一の内陸国で、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国・雲南省に国境を接しており、インドシナ半島のメコン地域を東西・南北に走る幹線道路の「結節点」として物流の可能性の大きさが指摘されています。その一方、「森の国」と称されるように森林などの自然に恵まれ、環境や農業を発展のキーワードとする人たちもいます。

私たちは1月下旬から2月上旬、ラオスの首都ビエンチャンなどを訪ね、計画投資省のソムディ・デゥアンディ大臣や全国商工会議所の幹部と会見し、今後の本県とラオスの交流のあり方について意見を交換しました。さらに、進出している日系企業やJICAラオス事務所、農業、教育などの現場を調査しました。そこで分かったことは、ラオスは本県にとっても大きな潜在力を秘め、パートナーとして自治体外交を積極的に展開すべき、ということでした。

計画投資大臣との会見で、大臣は昨年10月に本県を訪れ、小川洋知事らと交流し、ラオス経済・投資セミナーに参加したことを踏まえ、「多くの企業がラオスに関心を持っていただき、うれしく思いました」と謝意を表明しました。そのうえで、「ラオスの投資情報を収集し、福岡県で広めてほしい。JICAともよい協力関係を築いており、今後ますます福岡県との協力を増やしていきたい」と述べ、地方自治体との緊密な連携に意欲を示しました。私たちとしては、経済発展に向けた強い意志を感じたところです。大臣の意志の背景には、今年2月2日に実現したWTO(世界貿易機構)加盟や、2015年に域内貿易が拡大するASEAN共同体の発足があります。ラオス商工会議所の副会長もこうした経済的な「転機」を念頭に、私たちに対し「今回のわが会派の訪問は、ラオスの経済・社会の発展で重要な局面を迎えているところであり、両国の人間同士が話し合うのは非常に有意義」と話していました。

ラオスで特に注目すべき産業が、農林業・農産物加工業です。私たちが商工会議所で意見交換をした際、家具協会や木工協会、手工芸品協会、農産物加工品協会の各団体も参加していました。本県の大川市の木材事業協同組合とラオス木材組合との間では、既に「覚書」が交わされ、相互交流促進をはかることで合意しています。このこともあってか、ラオス側からは私たちに対し、「ラオスの木材は海外に輸出できる自負がある。技術・資金の協力があればともに成長していける」と、大川市からの投資に大きな期待を寄せる発言もありました。しかし、この「覚書」は相互に訪問した際に、移動や宿舎などの手配に便宜をはかるといった内容の、いわば交流の「入り口段階」の合意事項を記したものであり、大川市とラオス側とで、認識にズレがあることを感じました。

また、私たちは現地で、日本人が起業した農産物加工会社「ラオディ」も訪ねましたが、サトウキビ農園とラム酒製造工場を直結させ、ラオス人の人たちを雇用し、経営を軌道に乗せようとしていました。さらに、本県が進める「グリーンアジア国際戦略総合特区」との関係で言えば、JICA(国際協力機構)ラオス事務所が現在、最も力を入れて取り組んでいるプロジェクトに、首都ビエンチャンを舞台にした「エコ・シティ」の実現がありました。このプロジェクトは、ラオスは、豊富な水力を活用して周辺国に売電することで、「東南アジアのバッテリー」と呼ばれていることなどから、ラオスの「競争力」の源泉は豊かな自然資源と環境であるとの認識のもとで、この特性を都市開発の根幹にすえる計画となっています。中でも、具体的に動き出しそうとしているのが、電気自動車(EV)の導入です。ODA(政府開発援助)により、街中にEVの充電器を設置し、EVをビエンチャンの市民ら利用者に貸与するモデルプロジェクトを実施します。税制など法制度の整備も進めながら、普及の目標として掲げる「2020年に10%、2030年に50%」の実現を目指します。ラオスだけ見ると、人口が少なく市場規模は小さいが、先に述べたように東西・南北の経済回廊の結節点として「物流の拠点」の力を秘めていることから、ラオスが日本のEVのショールームとなり、インドシナ半島全体に日本のEVが広がることが期待されます。ラオス政府からは正式な協力要請が提出されており、まさに政府が2010年6月に閣議決定した「新成長戦略」で目指す、アジア各国市場の新たな需要に応え、日本企業のアジア展開を後押しするものです。

EV導入計画を契機として、「環境」を軸としたビエンチャンの都市開発に様々な角度から日本が積極的に関与していく際、地方自治体が培ってきた経験や先進技術による協力が非常に重要になると考えます。またEVに関しては、本県で製造される自動車も、中長期的にはガソリン車からEVになっていくことが考えられます。これらのことから今後、農林業や農産加工業、環境に関する分野などで、交流が活発化するのではないかと感じました。

県では、来年度から、バンコク事務所の人員を増強する方針が示されていますが、これはわが会派が、かねてから求めていたものであり、この方針が示されたことを評価します。また、これを機に、ラオスとの経済面での関わりを持つべきだと考えます。そこで、県内企業のラオスにおけるビジネス展開の可能性と、今後の支援について、知事の考えをお聞きします。

世界記憶遺産の保存・活用について

次に、世界記憶遺産に登録された山本作兵衛氏の炭坑記録画の保存・活用についてお尋ねします。
わが会派は、この問題を昨年12月議会の代表質問で取り上げ、知事からは「将来にわたり適切に保存・管理していくことが大変重要である。」との答弁がありました。同氏の炭坑記録画は、およそ1千200点あると聞きますが、このうち、世界記憶遺産に登録されているのは、田川市と県立大学が所蔵する589点で、その他には、県内市町村が所蔵しているものや、個人が所有しているものがあると聞きます。しかし、同氏の記録画は、小中学校で使われる普通の画用紙に、普通の水彩絵の具で描かれており、貴重な記録画の劣化が心配されます。

こうしたことから、わが会派は先月、世界記憶遺産に登録された炭坑記録画を所蔵する田川市の「石炭・歴史博物館」と、未登録としては128点という、まとまった数の炭坑記録画を所蔵する「嘉麻市・碓井郷土館」を視察しました。

このうち、嘉麻市では、山本作兵衛氏と親交のあった個人からの寄贈を受けた128点を「嘉麻市コレクション」として所蔵しており、田川市のコレクションが1960年代の作品が中心なのに対し、嘉麻市のコレクションは1970年代後半に描かれたものが中心で、中にはデッサン段階のものや、描きかけ途中のものも数点あり、山本作兵衛氏の炭坑記録画を知る上で、大変貴重であること、また所蔵する記録画の保存状態も大変良いことなどの説明を受けました。

また田川市では、伊藤市長、高瀬市議会議長から「貴重な資料の保存と活用は、一自治体としては至難の業」だが、「記憶遺産」の保存と活用は、「旧産炭地域の命題である」との認識が示されるとともに、市が独自に取り組んでいる保存・活用について、説明を受けました。そこで。
1点目に、わが会派は、嘉麻・田川両市での視察から、山本作兵衛氏の炭坑記録画を「県としても、責任をもって保存・活用していく責任がある」との認識を強めました。そこで現在、山本作兵衛氏の炭坑記録画の作品点数および、その所在がどのようになっているのか、県としての把握状況を教育長にお尋ねします。

2点目に、山本作兵衛氏の炭坑記録画は、世界記憶遺産に登録された589点の他にも、ほぼ同数の作品が県内に存在していることが考えられます。世界記憶遺産に登録された589点のうち584点については、「県指定有形文化財」に指定されていると聞いていますが、残る600点あまりの作品については、指定がありません。特に嘉麻市では、県が「嘉麻市コレクション」を「県指定文化財」に指定すること望んでおり、世界記憶遺産への追加申請も、視野に入れた保存・活用の取り組みを進めています。そこで、少なくとも、「嘉麻市コレクション」については、「県指定文化財」に指定すべきだと考えますが、このことに対する教育長の考えをお聞きします。

3点目に、山本作兵衛氏の炭坑記録画のレプリカを常設展示している「田川市石炭・歴史博物館」の入館者は、世界記憶遺産登録前が年間約2万人であったのに対し、登録後は、年間約20万人に膨れ上がっていると聞きました。これは、山本作兵衛氏の炭坑記録画への関心の高さを示すものであり、記憶遺産を世界に広く普及させていくという、世界記憶遺産事業の主要目的にも合致していると言えます。しかし、田川市が単独で、「世界記憶遺産」の保存と活用を行なっていくには、財政的な負担が重く、また年間約20万人の来訪者に対応するには、既存施設の拡充も必要となります。そこで、県として「世界記憶遺産」を保存・活用することについて、知事が基本的にどのように考えているのかお聞きします。また、それを踏まえ、田川市への支援について、どのように考えているのかお聞きします。

教育問題について

大津市で一昨年、当時中学2年生だった生徒が自殺した問題を調査するため、同市が設置した第三者委員会が、先月末、自殺は、「同級生からのいじめが直接的な原因だった」とする最終報告書を公表しました。この「報告書」には、「学校はいじめを認識できる状況にあったが、情報を共有せず、適切な対応をとらなかった。」また「市の教育委員会は、当初から事実調査を行なう考えがなく、危機管理の不充分さが目立った。」との指摘があり、学校側と教育委員会を厳しく批判しています。こうした「いじめ自殺事件」に関する調査が行なわれている最中、今度は大阪市立の高校で、部活中の体罰を苦に、生徒が自殺するという、痛ましい事件が起きました。いじめにせよ、体罰にせよ、教育の現場で、「子どもの命や、人権を守る」という意識がおろそかにされ、「スポーツが強くなりさえすればよい。」、「勉強ができるようになりさえすれば良い。」といった風潮が蔓延しているのではないかと危惧します。そこで、知事ならびに教育長にお尋ねします。

1点目に、体罰は、柔道の日本女子代表チーム内でも行なわれていた事実が判明し、学校の運動部活動だけでなく、スポーツ界全体に広く蔓延している実態が明らかとなり、社会問題化しています。学校現場における体罰は、「学校教育法」で禁止されていますが、その解釈・運用については、文科省から、「体罰に当たるかどうかは、個々の事案ごとに判断する必要がある。」、また「単に、体罰を受けた児童生徒や保護者の主観的な言動により判断されるのではなく、児童生徒ひとり人一人の状況に配慮を尽くした行為であったかどうか等の観点が重要である。」との考え方が通知されています。そこで、体罰がなくならない問題の原因には、文科省の体罰に関する曖昧な定義や解釈があるのではないかと考えますが、このことに対する知事ならびに教育長の考えをお聞きします。その上で、知事ならびに教育長が、それぞれ自身で体罰とは、「どのようなものである」と定義づけ、体罰が社会問題化している実態を、どのように受け止めているのかお聞きします。

2点目に、全国の公立の小・中学校や高校などで、体罰を理由に懲戒処分を受けた教職員の人数は、今でも毎年400人前後で推移し、2011年度は授業中の体罰で292人が、部活中の体罰で108人が処分を受けていると聞きます。しかし、これは「氷山の一角」で、体罰そのものの数は、もっと多いことが想像できます。そこで、本県での、ここ数年の体罰での懲戒処分の状況と、これまで県教委として、体罰の防止にどのように取り組んできたのか教育長にお聞きします。また、大阪市の事件を受け、防止策を講じるために、体罰の実態を把握するための調査が行なわれていると聞きますが、調査の実施や、その際の調査対象、調査方法などにつついて、教育長にお聞きします。

3点目に、もともとスポーツは男性優位の文化の中から始まり、荒々しい技で勝敗を競うというものでした。しかしその後、暴力的な要素を取り除き、ルールを整えることで、近代スポーツとしての社会的地位を獲得したと聞きます。それだけに、「ルールに従い、対戦相手を尊重すること」が、スポーツの基本であり、指導者はこのことを最も重視しなければならない立場にあると考えます。しかし、こうした中で、勝敗や順位を優先しすぎるあまり、指導者自身が自己抑制を欠き、選手と指導者という、絶対的な上下関係の中で暴力や暴言によって、「選手個人の人格と尊厳を傷つける」ハラスメント行為が、体罰という形で表れたのが、今回の高校部活中の体罰事件や、柔道ナショナルチーム内で体罰問題が起きた背景にあると考えられます。そこで、学校体育団体の役員会などを対象にしたハラスメント防止研修の実施が必要だと考えますが、このことについて教育長がどのように考えるのかお聞きします。

以下は、いじめ問題についてです。
4点目に、本県では2006年、筑前町で当時の中学生が、いじめを苦に自殺する事件が起き、それ以来、いじめ問題対策本部を設置し、いじめ問題の総合対策に取り組んでいます。こうした中で、大津市の第三者委員会の報告書が公表されましたが、報告書は、子どもたちの命を守るために、「もっと緊張感をもった対応が必要であること」を、学校や教育委員会に、厳しく問いかける内容となっています。そこで教育長は、本県が「いじめ問題総合対策」を取り組む上で、この報告書から、どのような教訓を得たのかお聞きします。

5点目に、大津市の事件を受け、全国で実施されたいじめの緊急調査が、昨年12月に公表されています。調査結果によると、昨年の4月から7月までにおける全国の小・中学校の「いじめの認知件数」は、12万7千件で、前年度1年間の認知件数のおよそ2倍になっています。認知件数の急増は、軽微な事案でも、いじめと判断するなど、学校や教育委員会が積極的に、いじめの「掘り起こし」を行なったことが原因だと考えられます。しかし、本県が行なった緊急調査では、昨年の4月から7月までにおける県内小・中学校の「いじめの認知件数」は288件で、前年度1年間の認知件数のおよそ6割となっており、倍増した全国総数の状況とは、異なる結果が出ています。今回の緊急調査は、大津市の事件後、文科省に設置している「いじめ相談ダイヤル」への相談件数が急増したことから、国が「見えないいじめが多数存在する可能性がある。」と判断し、毎年実施されている調査とは別に、実施を要請したものです。その調査の目的からすると、「認知件数が増えたから悪い。」、「減ったから良い。」と判断されるものではなく、学校がどれくらい真剣に、実態把握に努めようとしたかが、重要な点であったと思います。そこで、本県では、「見えないいじめ」を把握するために、どのような工夫をし、緊急調査を実施したのかお聞きします。また、それを踏まえ、今回の調査結果は本県での「いじめ」の実態を充分把握できるものになっていると、教育長が判断されているのかどうか、お聞きします。


民主県政クラブ県議団とは

立憲民主党14名、国民民主党2名、社民党1名、無所属3名で構成する総勢20名が所属する会派です。

県議会の会派の中で最も女性議員が多く、8名の女性議員が活躍しています。

第2会派として、格差をなくし誰もが活躍できる社会・ジェンダー平等社会の実現のため、地域の皆様のお声を最大限県政に反映できるよう一丸となり取り組んでおります。活動の内容をこのホームページで随時ご紹介していきます。

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