民主党・県政クラブ県議団 東北視察報告 その1<br>2012年5月27日〜29日

参加者 14名

団 長: 吉村敏男
事務長: 岩元一儀
視察委員長:小池邦弘
団 員: 佐々木徹、川﨑俊丸、守谷正人、野村陽一、泉日出夫、中村誠治、堤かなめ
     井上博隆、田邊一城
事務局: 末広晃、長谷川千尋

東北視察の概要

視察期間

5月27日(日)〜29日(火)

視察等の内容(主なもの)

  • 震災ガレキの現地での対応状況(1次・2次仮置場、焼却施設など→石巻市)
  • 派遣職員の活動状況(宮城県東部土木事務所→石巻市)
  • 水産業の復興状況(南三陸漁業生産組合・かきイカダ→南三陸町)


視察スケジュール
1日目(27日)
16:00 福岡空港集合(国内線第1ターミナルJALカウンター前)
16:45 福岡空港発
18:30 仙台空港着
19:00 ホテル着
      *ホテルモンテエルマーナ仙台(仙台市青葉区 TEL 022-721-7501)

2日目(28日)
8:30 ホテル発
    石巻市にて被災状況
    復興状況の視察及びサーベイメーターによる震災ガレキの測定
12:00 宮城県東部土木事務所の本県派遣職員との懇談
13:00 宮城県東部土木事務所着
       〜13:50 災害復旧概要の説明
14:15 大川小ほか視察
14:50 震災廃棄物選別処理施設着
       2次仮置場、仮設焼却施設などを視察→宮城県が対応
18:00 ホテル着
      *スマイルホテル塩竈(塩竈市新富町 TEL 022-363-7711)

3日目(29日)
7:45  ホテル発、南三陸町へ(約70km)
9:30  南三陸漁業生産組合
      かき養殖場など視察
10:40 南三陸町復興商店街視察
11:30 仙台空港へ(約100km)
14:05 仙台空港発
16:10 福岡空港着

東松島市野蒜地区

東松島市野蒜地区のガレキ集積所にて空間放射線量率を測定。結果は0,05マイクロシーベルト。地盤沈下のため、津波の水が引いていない地域がかなりの面積ある。今回の視察を通して、ガレキ処理と並び地盤沈下問題が非常に大きな課題であると感じた。

中間処理施設の視察に先立ち、石巻市内の複数の一次仮置き場にも立ち寄った。砂埃を巻き上げ、次々とトラックが走っている。昨年11月に石巻市を訪れたが、その時の光景と変わらぬ状況に、災害の大きさをあらためて感じた。

今も、そこここに大量のガレキが積まれている。ここでもサーベイメーターで空間線量を計測したが、0.06〜0.08マイクロシーベルトで、通常の値だった。

宮城県によると、現地は平地が少なく、ガレキの仮置き場は絶対的な容量不足の状態にあり、学校や仮設住宅などの生活空間に近い場所にも仮置き場を求めざるを得ない状態。また、堆積したガレキが内部で発酵するなど、通年で自然発火による火災が相次いでおり、今後、夏に向かっても火災が懸念される。被災地の現場の実情を踏まえると、広域処理をしっかりと検討する姿勢が、被災しなかった自治体には必要だとあらためて実感した。

なお、宮城県廃棄物対策課から配布された石巻ブロックの中間処理施設に関する資料の一部が、業務の概要が図示されるなどイメージをつかみやすいため、本報告書の末尾に添付した。

石巻市立門脇小学校

門脇小学校は津波に起因する火災に見舞われ、今も無惨な姿を残している。同校の道を挟んだ向かいの地区は津波によって家屋等が全て流出してしまった地区であり、この地区は石巻市における津波災害の全貌を示している。献花台も設置されており、観光バスやタクシーで献花に訪れる方の姿もあった。この地域での空間放射線量率は0,06マイクロシーベルトであり福岡より低かった。

日和山公園

石巻市を一望できる日和山公園から市内の被害を確認。中洲には地盤沈下の跡がはっきりと見てとれる。また、この公園を中心にした高台は津波の被害が全く見られず、低地とのあまりの格差に愕然とする。

石巻市ガレキ集積所

日和山公園から確認した巨大なガレキ集積所を視察。当日はそれほど暑くはなかったが、多少臭いがある。この付近での空間放射線量率は、約2m離れた所で0.06マイクロシーベルト、約20〜30cm離れた所で0.08マイクロシーベルトであった。

宮城県東部土木事務所

福岡県から3名の職員が派遣されている東部土木事務所において「東日本大震災への対応」と「復興の進捗状況」について説明を受ける。

電気、ガス、水道等のライフラインは100%の復旧しているが、「ガレキ」の問題や宮城県内各地における「地盤沈下」の問題は非常に大きな課題と言える。県全体の被害額が約8.9兆円、公共土木施設の災害査定は約7500カ所、約8800億円という。今後、公共土木施設の復旧事業が行われるが、需要急増による復旧工事費の高騰や人手不足などの問題から工期の遅れが予測されるため法整備も見据えた復興支援が必要であると痛感。

石巻市立大川小学校

全校児童108人のうち約7割の74人、教職員13人のうち10人が死亡・行方不明となった大川小学校を訪問。学校現場での災害に対する準備や教育の必要性を改めて考えるとともに、献花しを行い犠牲になられた方々のご冥福をお祈りした。

石巻ブロックの中間処理施設

北九州市がガレキの受け入れを検討するなど、福岡県内自治体の広域処理への動きを推進するため、石巻市の災害廃棄物(ガレキ)の処理の現状を調査した。

放射能に対する懸念の声もあるため、今回は持ち運び可能な放射能測定機器「サーベイメーター」を現地に持ち込み、空間線量を測定した。

環境省の資料によると、石巻ブロック(石巻市、東松島市、女川町)の災害廃棄物推計量は約558万2000トン。宮城県全体の約半分を占めており、宮城県がブロック内の市町から処理の委託を受けている。

宮城県は廃棄物の処理を効率化するため、処理業務をブロックごとにプロポーザル方式で一括発注している。全4ブロック(亘理名取ブロック、宮城東部ブロック、石巻ブロック、気仙沼ブロック)のうち、石巻ブロックは鹿島建設東北支店を代表とする特定JV(共同企業体)が受注しており、雲雀野埠頭に中間処理施設がある。

この中間処理施設は、主に「2次仮置き場」と「焼却施設」で構成されている。ブロック内の1次仮置き場から、トラックが廃棄物を運び込み、2次仮置き場で、重機などによるおおまかな粗選別、機械と手による破砕選別処理などが行われる。

ここから、廃棄物が北九州市へも搬出されるため、廃棄物の周辺をサーベイメーターで測定した。0.05〜0.06マイクロシーベルト(毎時)で、通常の空間と変わらない値であることが分かった。(参考=福岡県議会の議会棟内は0.09程度)

現場では、仮設の焼却炉5基を建設中(いずれも300トン)。ロータリーキルン炉(2基)とストーカ炉(3基)で構成しているが、視察時、稼働しているのはロータリーキルンのうちの1基。しかも、私たちの訪問のわずか5日前の5月23日に焼却を開始したばかりという状況だった。8月には全て完成する予定という。

ストーカー炉
写真左が焼却を開始したロータリーキルン炉

宮城県廃棄物対策課によると、広域処理を必要としているのは127万トン。このうち、視察時点で広域処理が確定しているのは1割の13万トンのみ。平成27年3月までにすべて処理するには、依然として広域処理が必要な状況は変わりないという。北九州市の受け入れが実現すれば、確定分に5万トンが加わる。現場の話では、石巻ブロックとしてはまずはこの仮設焼却炉5基を建設し、動かすことで精いっぱいなのが実情だという。これ以上、次々に仮設焼却炉を建設するというのは、用地の関係からほとんど実現不可能とのことだった。

中間処理施設の敷地内には、石巻市の一次仮置き場もある。最大高さ20メートルにもなる。環境省基準の5メートルを大幅に上回る規模だ。

南三陸漁業生産組合

南三陸漁業生産組合とは、漁協とは別に本年7月に設立された漁業生産者による組合。組合員は12名。宮城県内の養殖業者では初めての組合である。工藤忠清代表理事専務にご対応いただき、南三陸町の養殖漁業の復興の状況についての説明およびかき養殖場などをご案内いただいた。

◇ 復興の状況

ボランティアの方々の力もあり、再生は急ピッチで進んでいるとのこと。わかめはほぼ100%復旧。収量はそれほどではないが、値段が2〜2.5倍となったため収益が上がった。

震災後、資材が極端に不足していたため、中国からロープ10万メートルを輸入とするいう決断をした。「ロープの質が悪い」などの理由で輸入を躊躇していたところは、資材が手に入らず復旧が遅れてしまった。福岡県などから早期に支援いただいたことも大きい。これからはワカメ、昆布、ホタテ、牡蠣と収穫できる予定。

工藤忠清代表理事専務より説明を受ける

◇ 組合設立について

工藤理事によると、「村井知事に漁業特区構想を聞き、悪くない構想だと思った。従来からある漁業協同組合は高齢化しており年金をもらっている人が多いため、収益を上げようという意欲に欠ける。新しく組合を作ってまとまれば、船や機械なども共有でき、効率化できる。漁法や技術も、親からだけでなく他の組合員からも伝授してもらえる。そうやってもっと効率を上げていくこともできる。組合員は各自が個人事業主で、収益を分配する。わかめの収穫シーズン中、組合としてはほぼ毎日営業したが、個人としては交替で休みをとることもできた。また、漁協から支給されるものは現場のニーズに合っていないものも多いが、どのような船や機械が必要かを組合員で協議して決定する。今は、使いたいものを県に申請しているので無駄を減らすことができる。」と意欲満々の説明を受けた。

◇ 養殖用牡蠣イカダ

福岡県では、「がんばろう中小企業プロジェクト」として、被災地の中小企業が求める支援ニーズと県内中小企業からの支援申出とをマッチングさせ、被災地へ機材等を提供している。このプロジェクトのもと、平成24年12月に、福岡金網工業(株)及び(株)富士エコ研究開発より養殖用牡蠣イカダ1基が南三陸漁業生産者組合へ寄贈された。

工藤専務の船でイカダまで案内いただいた。このイカダでは100連の種牡蠣が養殖されていた。他に2基のイカダで800連の種牡蠣を養殖しているが、この最初の1基がきっかけとなって認められるようになり、その意味でも、「福岡からの支援は本当に有難かった」とのことだった。

◇ 今後の課題や展望

また、「養殖では、特定の作物を好む寄生虫の繁殖など、連作障害が起こりやすい。それが今回の津波で寄生虫や海底の汚泥が流されたため、生育環境が改善し成長が良くなった。」とのこと。

一番の課題は、補助金の使い方が限定されており使いづらいこと。たとえば事務所の経費は対象となっていない。また、高齢者など時給が安くてもいいから働きたいという人がいても、「最低賃金」があるので雇いにくい。年間の一時期だけ季節的に雇うこともしにくい。もっと多様な働き方ができるように制度を工夫することはできないものだろうかと考える。

工藤専務の漁業にかける熱意と「漁業を魅力ある産業にすれば、若い後継者も育つ。知恵を出して頑張れば漁業で食っていけないことはない!」という言葉が強く印象に残った視察だった。

福岡県内の中小企業から寄贈されたイカダ
養殖中の牡蠣の種牡蠣を引き上げる工藤専務

南三陸町復興商店街

南三陸町復興応援プロジェクトである「南三陸さんさん商店街」は、平成24年2月25日にオープンした。魚屋、肉屋、八百屋から美容院や花屋や食堂まで、プレハブの長屋に約30店舗が入居している。商店街がそっくりそのまま移動した格好だ。私たちを含め客の多くが、復興を支えようという気持ちから大量に買い物をしている姿がとても印象的だった。

「南三陸さんさん商店街」入口にて

民主県政クラブ県議団とは

立憲民主党13名、国民民主党2名、社民党1名、無所属4名で構成する総勢20名が所属する会派です。

県議会の会派の中で最も女性議員が多く、8名の女性議員が活躍しています。

第2会派として、格差をなくし誰もが活躍できる社会・ジェンダー平等社会の実現のため、地域の皆様のお声を最大限県政に反映できるよう一丸となり取り組んでおります。活動の内容をこのホームページで随時ご紹介していきます。

カテゴリー