
東日本大震災の復興支援について
はじめは、東日本大震災の復興支援についてです。
東日本大震災の発生から、1年3ヶ月が過ぎます。わが会派は、先の2月議会の代表質問で、震災復興の大きな妨げとなっている「震災がれき」の問題を取り上げ、国の広域処理の要請に、知事が積極的に対応することを求めました。
また議会最終日には、議会各会派の総意として、知事に対し「単に国の対応を待つのではなく、被災者、被災県に寄り添い、広域処理への国民的合意形成を先導するため、早急に市町村に受け入れを要請すべき」との議会決議を採択しました。
こうした議会の要請を、知事は真摯に受け止められ先月、宮城県を訪れ「震災がれき」の現状を視察され、帰福後は視察で得た情報を県内市町村に提供しています。わが会派も先月、知事と同じく宮城県石巻市などで、「震災がれき」の現状をつぶさに視察してきましたので、知事に次の3点についてお尋ねします。
1点目に、わが会派は現地で、1年以上も経った今も、「震災がれき」がうず高く積まれた被災地の光景を目の当たりにしました。現地では新しく建設された焼却場も運用開始され、「がれき」処理が全力で取り組まれ、震災被害のあった東北3県で、これまでに300万トンの「がれき」を処理し、また宮城県の「災害廃棄物」推計量についても30万トン減量されたものの、「がれき」の発生量が膨大であることに加え、今後さらに、家屋解体や海中からの引き上げに伴う「がれき」の搬入も続くことから、「がれき」の処理が容易でなく、広域処理が必要な事情がよく理解できました。被災地では、復興に向けた懸命な取り組みが行われていますが、宮城県の担当者からは、山の多い地形から一次仮置場が絶対的な容量不足の状態にあること、そのために「がれき」の山が学校や住宅などの生活領域にまで迫っていること、これから夏場にかけては火災や衛生上の心配が生じていることなどの問題が説明されました。こうした説明や視察から、わが会派は「がれき」の山を少しでも取り除くことが、復興支援の強いメッセージになるとの思いを強くしました。そこで知事も、同じ現地を視察していますが、現地の状況を見て、どのような思いを抱かれたのか、素直な感想をお聞きします。
2点目に、県内では北九州市が、「震災がれき」の試験焼却を通じ、安全性が立証できたとして、受け入れ実現に大きく動き出しています。また、県が国に報告した4月時点では、この他に田川郡東部環境衛生施設組合が受け入れを検討する意向を示していましたが、その後、飯塚市と豊前市が検討中と聞きます。さらに県内市町村議会の「震災がれき」の受け入れに係る議会決議は、昨年3月の豊前市議会、今年3月の北九州市議会に続き、議決順に大牟田市議会、宮若市議会、飯塚市議会、みやま市議会、そして5月に入り福岡市議会で決議されています。このように、震災がれき」受け入れの状況は、少しずつではあるものの、進展している状況にありますが、県議会決議で謳った「国民的合意形成を先導する」という目標からすると、未だ不充分だと考えます。そこで第1に、「震災がれき」の受け入れについて、北九州市が積極的な取り組みを展開していますが、知事は、この北九州市の取り組みをどのように評価しているのかお聞きします。第2に、この間、県として「震災がれき」の受け入れについて、どのような具体的取り組みを行い、現時点で「震災がれき」の受け入れに関する県内市町村の意向状況に対し、どのような所見を持っているのかお聞きします。第3に、それを踏まえ、今後、県内の「震災がれき」受け入れについて、知事がどのような目標をもって、積極的な対策を講じていくのかお聞きします。
3点目に、わが会派は今回、視察先にサーベイメータを持ち込み、「がれき」周辺の空間放射線量率を測定しました。測定の結果は、1次仮置き場、焼却する直前の仮置き場の「がれき」周辺の場合も、1時間あたり0.06マイクロシーベルト程度を示すものでした。ちなみに同じ日の県庁に設置されたモニタリングポストの値は0.063マイクロシーベルトでしたので、「がれき」仮置場周辺の放射線量は、福岡県と変わらないレベルにあると言えます。「がれき」の受け入れに対しては、なお一部で安全性に対する不安の声がありますが、これは私たちが普通に生活する上で、自然界からどの程度の放射線を受けているかなどの放射線に対する知識の普及が不充分であり、また「原子力ムラ」と言われるように、これまでの国の原子力政策や原発関連企業の対応が閉鎖的で、充分に情報が開示されなかったことによる不信に原因があると考えられます。そこで、「震災がれき」の受け入れや、また今後の原子力防災を進めていく上では、こうした問題を解決し、行政が責任をもって、県民に「安全と安心」を提供することが重要だと考えますが、このことについてどのように対応していくのか知事の考えをお聞きします。
また、このことに関連し、わが会派は、先の2月議会の代表質問で、サーベイメータで測定したデータの活用を提案しました。北九州市では、あらかじめ通常の放射線量を測っておき、試験焼却を行なう際に、試験焼却前後の放射線量を測定し、この結果が通常の放射線量と変わらないことを証明し、市民に理解を求めたように、通常の放射線量を測っておき、それを住民に公表しておくことは重要だと思います。そこで、このことに対する知事の所見をお聞きします。さらに、訓練等によりサーベイメータで測定したデータについても活用を図るべきだと考えますが、このことについて、知事の考えをお聞きします。また、このことに関連し、現在、県のホームページで、県内のモニタリングポストによる放射線量が公表されていますが、アクセス数などから、県民の利用状況について、どのように考えているのかお聞きします。
原子力防災について
次に、この項に関連し、原子力防災についてお尋ねします。
わが会派は、先月末、大気環境学の専門家を講師に招き、仮に福島第1原発と同規模の事故が玄海原子力発電所で起きた場合に、放射性物質がどのように飛散するかを試算した研究結果について、「学習会」を開きました。
この試算は国の「緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)」と、ほぼ同じ手法で行われたものですが、シミュレーション結果から、事故当時と同じ気象条件のもとでは、わずか2時間程度の間に、玄海原発に近い糸島市や福岡市はもとより、筑紫平野から県中央部を横断する広い地域で、1平方メートルあたり100万ベクレルに迫る大量の放射性物質に汚染されることがわかりました。1平方メートルあたり100万ベクレルという数値は、今回の原発事故では、住民が立ち入ることのできない「警戒区域」レベルにあたりますが、福島第1原発の事故の際には、SPEEDIの予測が活用されず、屋内退避が必要な時に避難のために屋外に出たり、放射線レベルが高い方向に避難して、多数の住民が被曝することになりました。
シミュレーション結果からは事故時の気象条件によっては、原発から遠い場所に避難することよりも屋内退避が重要となること、避難の際には原発からの距離よりも風向や風速などを考えて避難すること、原子力防災対策重点地域の30キロを超えた場所でも避難が必要となるなど、原発から同心円の対策に縛られない柔軟な対応と、平時から風向きや降雨などの気象データを使い緊急時の対応に備えることの重要性が理解できました。本県では原子力防災計画の策定が進められ、また今月3日には原子力防災訓練も実施されていますが、放射性物質の飛散が季節ごとの気象条件や複雑な地形に大きく影響することから、原発からの同心円上の対策よりも、事故発生時の風向きなどの気象データを重視した対策を進めるべきだと考えます。現在、策定中の原子力防災計画には当然、こうした視点を入れるべきだと考えますが、このことに対する知事の考えをお聞きします。
またシミュレーション結果からは、避難が必要な範囲が北部九州の広い地域に及ぶことがわかります。わが会派は、今年4月に原子力防災に関し、佐賀県唐津市を視察しましたが、その際にも唐津市側から県境を越えた防災計画に関する連携の必要性が提起されました。そこで本県の原子力防災計画に関しても、少なくとも長崎、佐賀を加えた北部九州3県の連携を視野に策定する必要があると考えますが、このことについて知事の考えをお聞きします。
「国際戦略総合特区」の取り組みについて
次に、「国際戦略総合特区」の取り組みについてお尋ねします。
わが会派は4月、九大と糸島市を視察し、九大の施設である「最先端有機光エレクトロニクス研究センター」、「次世代燃料電池産学連携研究センター」や、本県が中心となって設立した「水素エネルギー製品開発センター」など、最先端産業の研究開発拠点を視察調査しました。
両センターは、ともに国の国際戦略特区に指定された本県の「グリーンアジア国際戦略総合特区」の中で、「グリーンイノベーション」を主導する開発拠点として位置づけられています。このうち「有機光エレクトロニクス研究センター」では、次世代の発光材料の研究開発を基に、新たな照明やディスプレイの実用化・製品化が進められていました。また、一方の「燃料電池産学連携研究センター」では、家庭用から大規模発電用まで応用できる次世代型の高効率発電が可能な燃料電池の技術開発が行われ、実用化・製品化が進められており、両センターで行われている研究開発が着実な成果をあげていることが実感できました。
今後は、「総合特区」制度による支援によって、これらの先駆的な研究開発を県内外企業と結びつけ、研究開発から量産までの一貫した拠点を形成し、アジア市場を中心に世界展開していくことが期待されます。そこで。
1点目に、本県の「グリーンアジア国際戦略総合特区」は、昨年12月の国の指定から、およそ半年が経過します。この間、3月には第1回目の「総合特区計画」が認定されました。1回目の段階では「グリーンアジア国際戦略総合特区」で実施する主な事業のうち、低燃費車などの環境配慮型自動車や高効率ロボット、発電用インバータなどの再生可能エネルギー関連機器の開発・生産などに係る事業計画が認定を受け、設備投資計画に着手していると聞きます。わが会派が視察した「グリーンイノベーション研究拠点の整備」に係る事業計画は、2回目以降の認定になると思いますが、着実な成果があがっていくことを期待します。そこで第1に、これまでわが会派は、「国際戦略総合特区」に関し、その効果をとりわけ県内中小企業に波及させていくことを求めてきましたが、「総合特区計画」との関係で、このことがどのように推進されていくのかお聞きします。
2点目に、第1回目の「総合特区計画」で認定を受けた事業区域は、35区域あると聞きます。しかし、そのほとんどが事業所の所在を示す極めて狭い範囲の指定となっており、区域指定に面的な広がりがなく、県内各地に点の状態で分散しています。本県では「総合特区」によって、環境を軸とした産業の集積や、中小企業のアジア展開を図ることにしていますが、こうした本県の「総合特区」に対する考えが今回の区域指定に反映されているのか疑問を持ちます。そこで、知事は今回の区域指定について、どのような所見を持ち、今後の区域指定は、どのようにあるべきだと考えているのかお聞きします。
3点目に、第1回目の「総合特区計画」認定を受けた現段階で、「グリーンアジア国際戦略総合特区」の進捗状況について、知事がどのように判断しているのか、見解をお聞きします。また、それを踏まえ、「総合特区」の今後の展開をどのように見通しているのかお聞きします。
九州および本県の観光戦略について
次に九州及び本県の観光戦略についてお尋ねします。
九州の広域観光については、2004年10月に九州地方知事会が「九州が一体となって取り組むべき観光施策」を取りまとめた「九州観光戦略」を策定し、翌年4月に「九州観光推進機構」が設立され、この間、九州の魅力を磨きブランド化する戦略や、国内大都市圏や海外からの誘客戦略に取り組んできました。しかし、近年は個人の趣味・指向による「体験型旅行」やデフレ経済下における「安くて、近くて、短い」いわゆる「安・近・短」旅行の増加、九州新幹線の全線開業など九州の広域観光を取り巻く現状が大きく変化したこと。加えて、九州のより強力な統一的イメージ作りや国内外のマーケット別のきめ細かな戦略の構築と施策の実行などにおける課題や観光推進機構が任意団体という組織的脆弱性と外部人材依存によるノウハウの蓄積不足や内外の関係者とのネットワークの構築不足など、いくつかの大きな基本的課題も指摘されるに至りました。
こうした状況から、九州地方知事会は現在、機構が取り組んでいる第三次九州観光戦略後の九州の広域観光推進について、「九州広域観光推進検討委員会」を設置し、「今後の九州の広域観光施策の方向性と推進機構の役割・在り方」を検討してきました。その最終報告が6月7日に開催された知事会で了承されました。それによりますと「九州広域観光の戦略の必要性」については、観光を取り巻く環境変化を受け、九州の広域観光を着実に拡大するためには、「概ね10年程度を見据えた中長期計画と3年程度のアクションプランに基づいた施策の展開が必要」とし、国内外からの誘客には、多様な観光資源を持つ九州の強みを一体的にPRすることや、九州が一体となった広域戦略の立案が必要としています。
また「推進組織の必要性」については、各県の個別連携での実施よりも迅速で統一的な意志決定を行うには予算と人員の集中による効果的・効率的な事業執行が可能な推進組織での実施がより適しているとしています。さらに推進組織の役割と在り方については、行政や民間事業者に観光インフラの整備等を求めると共に、推進組織が担うべき役割として人材育成や国内外へのプロモーションを示しています。そして何より推進組織の在り方については、現戦略後の次なる10年を見据えた長期戦略を担うために、指揮命令系統の確立と安定的な財源の確保、職員の適正配置とプロパー職員の導入による、組織内ノウハウの蓄積等をあげています。以上の最終報告を基に以下5点についてお尋ねします。
まず第1に、九州観光推進機構が設立されて今年で丸7年を迎えます。観光は裾野が広く、地元の雇用も見込まれることから、今後の成長分野としてその振興拡大は程度の差はあれ、全国の自治体で取り組まれています。そこで知事は九州観光戦略の意義と推進機構が果たしてきた役割と成果についてどの様に認識しているのか所見をお伺いします。
第2は、今年度の本県の観光予算約2億6千7百万円のうち、その主な支出は機構への補助金約7千万円、県観光連盟への補助金約4千4百万円、その他九州新幹線全線開通キャンペーンや市町村と連携した広域観光キャンペーン約4千5百万円などとなっています。この予算の中で県独自の観光事業に対する取り組みはどのようなものがあるのか、お示し下さい。また、この間の本県の観光戦略と九州観光推進機構の取り組みとの関係はどのような役割分担で調整されてきたのかお尋ねします。
第3は、今回の報告では、推進機構の法人化を組織強化の選択肢の一つとしていますが、2005年4月に機構が設立された際には、「速やかな法人化を目指す」とされていたものが、今日まで法人化されていません。九州の広域観光を拡大するためには、法人化や組織の強化は喫緊の課題です。その実現のため本県として積極的に力を尽くすべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いします。
第4は推進機構の財源についてです。現在、推進機構は九州7県や各県観光連盟・民間企業などからの補助金等により年間約5億円で運営されています。しかし、安定的に事業を推進し、適正な職員配置やプロパー職員の導入等には多額の財源の確保が必要不可欠の要件です。そこで、九州観光の一体的取り組みを推進する上で、九州各県が安定的な財源を確保し九州の一体的な観光の充実と進化を実現することは極めて重要な取り組みだと考えますが、知事の所見をお伺いします。
第5に、今後の九州広域観光の検討スケジュールについてどのように進められていくのかお尋ねしてこの項の質問を終わります。
農業問題について
次に農業問題について、制度開始から3年目を迎えた戸別所得補償制度と、それを基盤に今年度から始まった関連事業について、知事にお尋ねします。
はじめは、戸別所得補償制度についてです。わが国の農政は、戸別所得補償制度が、導入されるまでは、規模拡大を基調とする、品目横断的、経営安定対策が進められてきました。しかし、わが国の農業は、規模の論理だけでは国民への安定的な食糧供給や、多面的機能の維持に、課題を残してきました。
こうした現実を踏まえ、戸別所得補償制度は、2010年度に、戸別所得補償の対象をコメに限定して、「米戸別所得補償制度」としてスタートしました。端的に言えば、戸別所得補償制度は、以前の農政が規模拡大に軸足を置いていたのに対し、農業経営安定化のための所得と、農村コミュニティーの維持に、軸足を置く政策と言えますが、両政策ともに、農業経営の安定と、国内生産力の強化を図り、食糧自給率の向上と、農業の多面的機能を維持するという目標をめざしているという点では、共通する目標をもった政策とも言えます。
また初年度に、対象をコメとした理由は、農地の5割以上を占める水田に着目し、その利活用拡大をはかるとともに、過剰なコメの生産を抑え、麦、大豆、米粉用・飼料用といった、自給率向上の中心作物の生産拡大を図ることを目的としたためです。
そして、この制度は昨年度から、「米戸別所得補償制度」を継続しつつ、畑作物についても、所得補償の対象に加える「農業者戸別所得補償制度」として、本格実施されています。
そこで。1点目は、戸別所得補償制度の参加状況について、お尋ねします。
「農業者戸別所得補償制度」への参加率を、全国的にみると、2010年度が77.4%であったのに対し、2011年度は、これを4.0ポイント上回る81.4%に上昇しています。
これに伴い、コメの過剰作付面積は、2010年度の約4万1千ヘクタールから、2011年度は約2万2千ヘクタールへと、約2万ヘクタール減少しました。この数字からは、戸別所得補償制度が生産調整への参加者を増やし、コメの過剰作付けを、減少させる方向で作用したことが、示されています。
戸別所得補償制度への参加者が、増加した理由としては、2010年秋に米価が下落する中で、戸別所得補償制度による、定額支払いと、変動額支払いが実施され、とりわけ変動額支払いの受領によって、コメ生産者に「米価の大幅な下落がカバーされ、経営の安定が保たれる」という、戸別所得補償制度の政策効果に対する、実質的な理解が深まったためだと考えられます。
また、2011年2月に農水省が実施した、戸別所得補償制度に対するアンケート調査によると、7割以上の生産者が、制度を「そのまま続けるべき」、「改善点はあるものの、骨格は維持すべき」と回答していますが、この時点では、変動額支払いの支給は実施されておらず、変動額支払いの実施を踏まえれば、これらの回答は、さらに増えたと推測できます。
そこで第1に、2010年度から、今年度にかけて、本県の戸別所得補償制度への参加率が、どのように推移しているのかお聞きします。
第2に、戸別所得補償制度の維持は、大多数の農家の意向だと判断できますが、知事は戸別所得補償制度に対する本県農家の意向をどのように、とらえているのかお聞きします。
2点目は、営農組織の法人化、規模拡大からみた戸別所得補償制度について、お尋ねします。
戸別所得補償制度に対しては、小規模生産者を含めた、全ての生産者を対象にしていることから、これを「バラマキ」であり、農地の規模拡大を妨げるといった、批判があります。制度の始まった、2010年の12月議会で、当時の知事も、わが会派の代表質問に対し、「戸別所得補償制度は経営形態にかかわらず、一律に所得の補てんをする制度であるから、農業営農組織の法人化や、できるだけ、規模の拡大を図っていくという、我々の政策に対し、いわば農業の構造改善を阻害するということを懸念している」と答弁しています。
そこで、改めて知事にお尋ねします。
第1に、戸別所得補償制度の開始から、今日まで、本県における営農組織の法人化が、どのように推移しているのかお聞きします。
第2に、戸別所得補償制度が、果たす生産調整機能、規模拡大、担い手形成に対する政策効果などを、総合的にみて、知事が戸別所得補償制度を、どのように評価しているのかお聞きします。
次は、「人・農地プラン」の策定と青年就農給付金制度に関するものです。
国は昨年10月、「わが国の、食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」を決定し、この中で土地利用型農業では、「徹底的な話し合いを通じた合意形成により、平地で20〜30ヘクタール、中山間地で10〜20ヘクタールの、規模の経営体が全体の8割程度を占める農業構造を目差すこと」を方針としました。
しかし、北海道を除く、2009年時点での、全販売農家のうち、5ヘクタール以上の農家は、わずか4%であることから、この目標を達成するには、相当な時間と努力を要すると思います。また現状は、担い手の高齢化と不足、耕作放棄地の増加などの「人と農地」の問題を抱え、5年後、10年後の展望が描けない、地域や農業集落が増えていると聞きます。
このため、国は今年度から、地域や農業集落が抱えている「人と農地」の問題を解決するための基本的なプランである「人・農地プラン」を、今後2年程度で、問題を抱えるすべての市町村、集落で策定することにしています。
このような、地域農業の将来をプランとして描く試みは、これまでにもあった、地域農業づくりの手法だと思いますが、今回の「人・農地プラン」の策定にあたっては、政策の実効をあげるために、「農地集積協力金」と「青年就農給付金」という交付金・給付金制度が、新設されたことが、これまでとは異なる特徴となっています。
「農地集積協力金」は、「人・農地プラン」実現のために貸付などによって、農地集積に協力する「農地の出し手」に1戸あたり、30万〜70万円の「協力金」を交付するものであり、また「青年就農給付金」は、農家・非農家を問わず、「人・農地プラン」に位置づけられるか、または位置づけられると見込まれる45歳未満の新規就農者に対し、農業研修期間から、経営が定着するまでの、最長7年間にわたり、年間150万円を給付するものです。
これらの交付金・給付金制度は、戸別所得補償制度と、組み合わせて活用されるもので、農業経営の安定と、農村コミュニティーの維持に軸足を置く、戸別所得補償政策を基盤に、農地の集約や、若手農業者の育成による「農業構造」の改革を、強力にあと押しする役割が求められていると考えます。
本県においても、この事業は今年度、農業者戸別所得補償制度、関連事業、若者の農業参入定着支援事業として、取り組まれることになっていますが、戸別所得補償制度による、経営安定化策や、規模拡大加算、集落営農の法人化支援策に加え、この両事業が始まることによって、相乗効果が高まり、農地の集積や、若者の農業参入が拡大し、地域や集落で、持続可能な農業が確立されることが期待されます。
そこで、1点目に、「2010年農林業センサス」によると、全国の農業集落の数は、約14万で、このうち、担い手となる家族経営や、法人経営が全くなく、かつ、核となる集落営農もない地域が、約36%を占めています。また、基幹的農業従事者は、全国で約186万人と言われますが、その約60%が、65歳以上であり、40歳未満の若手農業者は、全体の5%ほどしかいないと聞きます。そこで、本県の農業集落が、どのような現状にあり、それらの地域や集落において、持続可能な農業経営を確立する上で、どのような課題を抱えていると、知事が認識しているのかお聞きします。
2点目に、「人・農地プラン」は、市町村が決定することになっていますが、都道府県に対しては、「人・農地プラン」の策定が円滑に進むよう、重点市町村・重点集落を設定することが求められています。
農水省の2008年・「集落営農調査」によると、本県の農業集落数は、約3200集落で、このうち、およそ半数近くの1500集落が、集落営農へ参加しています。
北海道を除く都府県全体の参加率は、24%程度であるので、本県の集落営農の組織化は、全国的にも進んでいると評価できます。
今後は、残り半数の集落の組織化と、集落営農組織の法人化が課題となってきます。県の「総合計画」にも、集落営農の法人化について、今後5年間で、200法人をめざすとの目標が示されており、そのこと自体は評価できますが、法人化することを目的化するのではなく、法人化を手段として集落を基盤とした「多角経営農業法人」へと、育成していくことなど、法人化の先を見据えた取り組みが重要だと思います。
また、営農組織や法人組織は、それぞれの地域特性や、発展の段階、めざしている方向性に違いがあり、千差万別だと聞きます。
そこで、「人・農地プラン」の策定は、これらのことを踏まえ、集落営農の組織化、法人化とあわせて進めることに意義があると思いますが、知事は「人・農地プラン」の策定に向けて、どのような展望と手立てをもって、取り組むのか考えをお聞きします。
4点目に、「青年就農給付金」制度は、フランスに同様の給付金制度があることが、国の2010年度「農業白書」で紹介されています。「白書」によると、フランスで「青年就農給付金」が創設されたのは1973年で、1農業者あたり、平均180万円が給付されていますが、受給者の10年後の定着率は95%と、非常に高くなっています。
また、フランスでは、この制度により、1970年に15%であった、主業農業者に占める、40歳未満の割合が、2003年には、29%へと大きく増加し就農者の若返りが実現しており、今回の制度はこれを参考にしたものと考えられます。
フランスの制度とは、条件不利地が、優遇されていること、半額とはいえ、副業農業者も対象となっていることなどの、違いがありますが、この違いは、農業経営を持続することが、食糧の安定供給に加え、環境保全などの、多目的な機能を、発揮する役割を担っているという、農業に対する「社会的な評価」が、フランスでは、定着していることにあると思います。
そこで、今回の給付金制度をはじめ、農業経営の確立を促進するための助成は、農業に対する「社会的な評価」を、県民の中に広めていくことと合わせて、進めていくことが重要だと考えますが、このことについて知事が、どのように考え、取り組んでくのかお聞きします。
5点目に、全国就農相談センターの実態調査では、新規参入者が、農業を始めてから、経営が定着するまでに、最短でも、2年〜5年かかっており、また北海道以外の都府県では、農業開始から5年以上経っても、農業所得で生計が成り立っている者の割合は40%でしかないという、実態が明らかとなっています。
こうした中で、「青年就農給付金」制度が開始される意義は大きいと考えます。本県では1998年から2010年までの11年間に、累計で、1598名が新規就農し、その内訳は農家の世帯員から、自営農業者となった者が1416名、非農家からの新規参入者が、182名となっています。
そこで、就農者の若返りという視点や、農業経営の定着という視点から、本県が取り組んできた、新規就農が、どのような現状にあるのかお聞きします。また県では、年間の新規就農者の目標人数を、これまでの150人から、200人に上積みし、今年度からの5年間で、1000人の新規就農者の育成をめざすことにしていますが、この給付金制度を活用した農業分野の人材確保に、どのように取り組んでいくのかお聞きします。
6点目に、雇用就農に関して、他県では、集落営農法人を核に、地域の農業資源を、総合的に活用して、一年間を通じて、農業に従事できる「周年農業」と、「周年就農」を確立するとともに、雇用就農を媒介として、定住者としての確保をめざす、取り組みを行っているところもありますが、このような、取り組みに発展していくためには、農地の維持・管理組織という、従来の集落営農の枠を超えた、経営への発展が必要となります。
本県の集落営農組織についても、経営力を強化することが課題となっていますが、そのためには、農業普及指導員に技術指導だけでなく、経営指導の役割を担わせることや、経営に係る新たな人材を配置するなど、人材確保を通じた、集落営農全体をマネージメントする体制が必要だと思います。そこで、知事がこのことにどのように取り組むのかお聞きします。
この項の最後に、農業教育の推進について、知事と教育長にお尋ねします。
農業高校は、国民にとって重要な産業である、農業に従事するために必要な知識、技術、などを習得させる、産業教育の役割を担い、農業従事者を育成する責務を負っています。
しかし、全国の農業科のある高校の学校数は、ピーク時である、1970年度の679校から、2011年度は、半数以下の325校にまで落ち込み、減少の一途をたどっていると聞きます。
本県においても、1970年度に15校であった農業高校は、2011年度時点で9校になっており、全県立高校に、占める農業高校の割合は16.1%から9.8%に、生徒数も、約8000人から、約2500人に減少しています。
この原因は、農家数の減少などの、社会経済情勢の変化にあると思いますが、農水省によると、2010年度の、新規学卒就農者の31.7%は、農業高校出身であり、高齢化が進む中で、これからの農業を担う若手リーダーを育てる、農業高校の意義は大きく、また農業法人への就職という、新たな就農形態や、農業の6次産業化という、新たな経営形態が出現していることを考え合わせると、地域産業の育成という視点からも、農業高校が果たすべき役割には、大きいものがあると考えます。
そこで1点目は、知事にお尋ねします。農業・農村の振興という視点から、知事は農業高校の存在意義や役割について、どのような所見を持っているのかお聞きします。
2点目は、教育長にお尋ねします。少子・高齢化の進展や、経営規模の拡大などにともない、農家数は、今後も減少を続けることが予想されます。またこれに加え、農業だけでは生計が成り立たないという、厳しい現実があります。このような中で、農業教育のあり方も、社会経済情勢の変化に応じた、対応を迫られていると思いますが、教育長は、本県の農業・農村振興策との連携という観点や、農業を取り巻く、厳しい現実を見据え、魅力ある農業高校をつくっていくために、どのようなことが必要だと考えているのかお聞きします。







